放射性炭素年代測定では、試料として木材、炭、貝殻、泥炭、骨等を使用し、その14C濃度は放射能計測によって推定、あるいは加速器を用いた質量分析器で測定する。14Cの半減期は、初期の測定値と整合性を保つため、Libbyが用いた5,568年によって計算し、個々の結果が比較できるように統一されている。また、1954年以後の核爆発実験によって生産された14Cの増加のため、1950年を基準に何年前かを示すため、測定値の年数にB.P.をつけて表記する。
一般に、放射線核種の壊変定数を用いた年代測定では、指標核種(放射線炭素法では14C)の初期量(C0)、壊変量(C0−Ct)、現在量(Ct)のうちの2つを測定し、壊変定数(λ)を用いて年代(A)を算出する。ただし、初期量の一部は壊変して減少していることから、実際の測定は壊変量と現在量について行うことになる。
年代を計算する一般的な式は、次式で示される。
2) 測定方法
放射性炭素法年代測定用試料は、採取後、炭素含有物質による汚染や大気中のCO2との同位体交換反応を避けるため、アルミ箔に包み、ポリエチレン製の袋に密閉して保管して、試験に供した。
14Cの測定方法は、現在では下記のように大きく2つに分けられる方法がある。
β線計数法・・・・・・・・間接法
加速器質量分析法・・直接法
β線計数法では、試料中の炭素をCO2として取り出し、これをアセチレンやベンゼンといった気体や液体に調製する。調製した試料をガス比例計数管や液体比例計数管に封入し、14Cの壊変によるβ線を計数することによって、試料中の14C残存量を推定する。
一方の加速器質量分析法(Accelerator Mass Spectrometry)は、試料中に含まれる炭素を最終的には石墨等に調製し、この中に含まれる14Cを直接計数する高感度測定法であり、比較的最近に開発された手法である。本法は従来のβ線計数法の約1,000倍の感度をもつため、非常に少量の試料でも分析が可能であり、放射性炭素法による年代測定の可能範囲や応用範囲を拡大するといった恩恵が得られている。