藤岡町深見地区で実施した詳細調査の結果、猿投−境川断層の最新活動時期は約11,800年前である可能性が高い。トレンチから活動間隔を直接推定する証拠は得られなかったが、平均変位速度及び断層の長さをもとに、経験式によって、この断層の活動間隔は約1.4〜3.4万年程度と推定される。活動間隔が相当長いため、仮に間隔が約1.4万年であったとしても近い将来に地震が発生する可能性が高いとは思われない。しかし、1.4万年という値には誤差もあるため、安全とは言い切れず、注意を怠ることはできない。
A 猿投山北断層
県建築部の調査では、最新活動時期は約1,900年前〜3,300年前、活動間隔は約5,000年とされている。このことから、今後数百年以内という近い将来に活動する可能性は完全には否定できないものの、高くないと考えられている。
なお、両断層とも現在の技術水準で最善の調査を実施したが、完全な評価が難しい。上記の結論は、確実に安全であると断定するものではないので、今後とも注意を怠ることはできない。
表1−1 調査結果のあらまし
参考資料
・断層のパラメータを推定する経験式
@地震の大きさ(M:マグニチュード)
logL=0.6M−2.9
L:断層の長さ(km)
A最大変位量(d)(m)
d=L×10−1
B平均変位速度(S)
断層の累積変位量(D)をその変位を得た断層変位基準の形成年代(T)で除したものである。
S=D/T(m/千年)
C活動間隔(R)
R=d/S(年)