トレンチ調査は、用地の関係で深度2.5mまでしか確認できなかった。トレンチ調査を行った結果、盛土及び完新統の砂及び粘土(河川の氾濫原堆積物)が分布していたが、断層により変形した形跡は全く認められなかった。
トレンチ壁面から採取した木片の14C年代測定結果は、130〜140±50年前を示していること、トレンチ壁面の地層はほとんど乱れていないことにより、トレンチ地点付近に存在する活断層は、最近100年間は活動していないことが確認できた。
さらに、トレンチの西側やトレンチ底面深度以深の地質を観察する目的で、トレンチ付近で3本のボーリングを密に行った。その結果、トレンチ地点における東−西方向の地質断面を図4−6のとおり推定した。
今回のトレンチで断層が確認できなかったが、その理由は、トレンチ掘削地点において、完新統の河川堆積物が常滑層群の断層を覆い隠していたためと考えられる(図4−6参照)。つまり、トレンチ用地として、最適ではない低断層崖の延長上の用地しか確保できず、またこの用地が狭いため断層を確認するために必要な深度まで掘削できなかったものと推定できる。
図4−4 トレンチ南側の地形断面図
図4−5 ボーリング地点付近の地形断面図
図4−6 トレンチと断層の関係の概念図
(常滑層群内の断層による小崖の上に新しい地層が堆積。)
しかし、トレンチ付近で行ったボーリング調査のコアから採取した沖積層の細砂層中の木片からは、約2500年前の14C年代測定結果が得られた。この結果は、トレンチ地点北側(大府市月見町)のボーリングで採取した木片の年代と同じであり、この地点の南方で複数の低断層崖を伴う変形を受けている沖積層の年代と同程度のものと考えられる。