調査作業概念図を図3−35に示した。各受振点に配置された9個の受振器で得られた信号は加算により1つのアナログ信号にされてRSU(リモートステーションユニット)へ入力される。RSUは受振器で得られたデータを増幅してディジタルデータに変換し、4受振点分のデータを規定回数まで加算してメモリーに蓄積する。それらのデータは観測車に搭載された測定制御をおこなうCRU(セントラルレコーディングユニット)からのコマンドによりケーブルを通じて観測車内の収録装置まで伝送され磁気テープに収録される。同時にモニター記録で常に品質管理を行う。1発震点のデータ収録が終了すると、バイブレータは標準40m移動し、使用する受振器もCRUからの指令により移動させて、以後、前の発震点と同様にデータを収録する。なお、測定中に、使用しなくなった受振器、本線ケーブル、RSUは順次撤収し、これから使用する位置に設置していく。このような操作を測線に沿って移動しながら繰り返して行く。
市街地において、深度数kmまでの深部を対象とした反射法地震探査の震源としては大型のバイブロサイスが最適である。バイブロサイスの波形処理の概念図を図3−34)に示す。震源からは(A)に示すような周波数が徐々に変化する長時間の振動(スウィープ)を発生させる。地下の反斜面として(B)に示す5層を仮定すると、各反斜面からの反射波はそれぞれ(C)〜(G)の波形となる。地表の受振器での観測波形は、これら(C)〜(G)すべての重ね合わせとなり(H)に示すような波形となる。バイブロサイスの波形処理とは、(H)の波形に対して、震源からある瞬間にパルスが生成された時の波形に変換する処理である。この処理はスウィープ波形(A)を用いて行い、クロスコリレーションと呼ばれる。この結果を図中の最下部に示す。(B)で仮定した5層の反射波が明瞭に確認できる。この波形処理によれば、市街地での種々のランダムノイズをかなりの程度まで落とすことができる。