2)その結果、深度2000m程度までには上下変位を示す累積的な構造は認められず、深部の基盤(中・古生層)から浅部へ連続する明瞭な断層や撓曲も確認されなかった。このため、岐阜−一宮線が大きな地震を繰り返し起こしてきた主要起震断層であると想定することは困難である。ただし、浅部において地層の小規模な不連続は認められることから、最近になって動いたとすればその痕跡は小さいものとなり、その結果反射法で検出できなかった可能性もあり得るので、確実に活断層はないとまでは断定できない。
3)反射記録上での地表付近の地層の不連続や、水準変動、地表地形、地盤沈下量がこの付近を境として変化し、濃尾地震時の被害の集中を始め遺跡には地震跡が少なからず発見されていること、さらには軟弱な沖積層が厚く発達していることなども考慮すると、地震に対する注意は引き続き怠るべきではないと判断される。